商人のまち、繊維のまち 大阪から靴下の情報を発信

大阪靴下工業組合

靴下の豆知識

悲劇の大功労者

くつしたに欠かせない、伸び縮みするメリヤス生地の自動編み機を発明したのは英国のウィリアム・リー(1563~1610)という人だった。

聖職者になる道よりも恋人との結婚を選んだために、失業してしまったリーは、ある日、手編みの内職で生活を支えてくれる妻の手先をみつめ、これを機械でできないものかと思いつく。

そして一意専心に励んだ結果、1598年に世界最初の編み立て機械を完成させた。この精巧な機械は奇跡の到来だったが、メリヤスの手織り業者からは自分たちの職を奪うものと反発があいつぎ、とうとう軍隊が機械を粉砕する騒ぎに至った。

リーはこれに屈せず、さらに改良して絹のくつしたが編める機械をたずさえロンドンに向かい、エリザベス女王に特許を願い出た。しかし女王は機械を受け取っただけで、いっこうに特許を与えようとはしなかった。

彼の死後弟たちは英国に戻り、苦労を重ねて特許を取り、改良機を発売した。今日メリヤスの本場と呼ばれるノッティンガム、レスター、ベルベシア各地に機械を普及させていった。リーの弟子たちも、イタリアやフランスを皮切りにヨーロッパへの普及に努め、各国のメリヤス産業の発展に貢献したのである。

だが、貴族たちが好んだ絹のメリヤス編みくつしたは、依然手編みでつくり続けられる。なぜならストッキングはファッション性が高く、多様性が求められたから、手編みのほうが対応しやすかったのである。

「THE BOOK OF SOCKS AND STOCKINGS」(荒俣宏 著/日本靴下協会 発行)より引用
PAGE TOP