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大阪靴下工業組合

靴下の豆知識

お洒落のパイオニア、黄門様

くつしたと、その素材のメリヤスが日本に伝来したのは、南蛮貿易が始まった永禄10年(1567)から寛永12年(1635)にかけてといわれる。この時代のヨーロッパでは、手編みメリヤスが全盛期。ポルトガル人やスペイン人を通じて英国製などが海を渡った。しかし実際に履けたのは大名だけ。庶民はくつしたの存在すら知らなかった。

日本人で最初にくつしたを履いたのは、誰あろう徳川光圀(1628~1700)だ。さすがに進取の気性に富んだ黄門様だけのことはある。今から33年ほど前、水戸家代々の所蔵品が入った長持の中から、古めかしいくつしたが7足発見された。光圀公が履いたことは間違いないが、どこの国の製品かは不明(これに似たものがワシントンD.C.の国立博物館にも保存されている)。

7足とも地模様入りのソックスで丸編み。3足は絹製、あとの4足は木綿製だ。編み目はどれもきれいに揃っていて、解明できぬほどの高等技術。現在、黄門様のくつしたは、上野の国立博物館が保存している。

「THE BOOK OF SOCKS AND STOCKINGS」(荒俣宏 著/日本靴下協会 発行)より引用
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