目にとまるより、足をとめる
恋人の心を射とめるために、涙ぐましい努力を惜しまないのは、洋の東西を問わない。そんなとき、相手の気をひくおまじないに使われるのが、意外にもくつしたなのだ。
韓国の男性はプロポーズのときに、梨の花の小枝を折り、その先に銅銭を何枚か結びつけ、これを夜中に意中の女性のくつしたや足袋にこっそり入れておく。こうすると、色よい返事が来るのだそうだ。
つまり、恋を叶えるためには、相手の目をひきつけるよりも、足をとめるのがいちばん、というわけだ。
ヨーロッパにも、編み糸で足をとめるおまじないがある。ある女性の編んでいる糸に足をとられたら、いずれ彼女にプロポーズすることになる。また、女性がつまずけば、ふたりはひとりの男をめぐるライバルになる、と信じられてきた。これも、足をとめるまじないのひとつ。また、買ったばかりのくつしたや靴を手から落とすと、それを履きつぶすまで失恋続き、といわれている。
「THE BOOK OF SOCKS AND STOCKINGS」(荒俣宏 著/日本靴下協会 発行)より引用